彰国社

検索

日本建築史学会賞受賞『〈山林都市〉』の著者・堀田典裕氏の講演会

2012年12月に刊行した
『〈山林都市〉……黒谷了太郎の思想とその展開』が、日本建築史学会賞を受賞いたしました。

その著者である堀田典裕氏の講演会がJIAで行われます。

〈山林都市〉の思想とそれを提唱した黒谷了太郎を、ご存じですか?

黒谷了太郎は、建築の専門教育を受けた人ではありません。
彼は英語が堪能で、台湾総督府の技術官僚として林野整理事業に従事したことが契機となり、山地での殖産と山地を居住地として活用することを考え始めます。文通するほど親しくなったアンウィンとの交流を通して〈田園都市〉の理論をよく理解した黒谷は、大正10年に著書『山林都市』を著しますが、その実現を見ることなく一生を閉じました。
一方、第二次世界大戦後に西山夘三・丹下健三・菊竹清訓・山下和正らが手掛けた計画の中には、「山林都市」「森林都市」「林間都市」「山岳都市」という言葉を見出すことができます。黒谷の「山林都市」を参照したのではないかと思われる計画が散見される事実を掘り当て、堀田氏は、黒谷の〈山林都市〉を、現れては消えていく「詠み人知らずのユートピア」と呼びます。

山林における職住近接・エネルギーの地産地消を謳う黒谷の〈山林都市〉の考え方は、これまでほとんど知られてきませんでした。国土の2/3を山林が占める日本で、現在見られる居住地としての山地利用の思想と手法は、都市への通勤圏内にあるものは大規模宅地開発、風光明媚な場所であれば観光地開発の2極しかありません。黒谷了太郎の思想を下敷きに、都市やまちづくりにおいて、人が幸せに働き、暮らすことができるユートピアを志向する意味を問いかける堀田氏の講演にご期待ください。

●主催 JIA都市デザイン部会
●日時 2014年5月19日(月)18;30~20:30(開場 18:00)
●会場 建築家クラブ(JIA会館1階) 東京都渋谷区神宮前2-3-18
●定員 50名(先着順;事前申込不要)
●参加費 1,000円

講演者略歴
堀田典裕(ほった よしひろ) 
1967年 三重県生まれ。
1995年 名古屋大学大学院工学研究科建築学専攻博士課程修了、博士(工学)。
日本学術振興会特別研究員、デルフト工科大学建築学部研究員、名古屋芸術大学などの非常勤講師を経て、現在、名古屋大学大学院環境学研究科都市環境学専攻助教。建築設計事務所「Lab/Archit.」共宰

  • 新刊やイベントのお知らせ、現在編集中の企画、最新情報などをお届けしています。