彰国社

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「地霊」の黒い陰

災害の黙示録

岡田光正 著

四六・200頁

定価1,980円(本体1,800円+税)

ISBN:978-4-395-32039-4

2015年04月

災害や悲劇のあった場所には地霊の陰があることも多い。なかでも大量死の跡地や重大事件のあった場所などに蓄積された恨みや呪いは地霊となってその土地に記憶されている。昔から人びとはこれらの場所をクセ地やタタリ地、ノロイ地などと呼んで後世に伝えようとしてきた。地霊は尊重すれば守護神にもなるが、傷つけると報復される。地霊の存在は証明されないが、地霊を尊重していれば被災を免れたのではないかと考えられる事例も多い。
本書は建築防災の専門家でもある著者が、日本のような災害列島において、とくに開発や工事にあたって地霊を傷つけることのないようにとの願いから書かれた啓蒙書である。

[目次]
まえがき
1 盛り場にひそむ地霊の闇
横井座の悲劇/横井座とはどんな劇場だったのか/千日前は仕置場だった/上方歌舞伎の衰退/118名が死亡した千日デパートの火災/工事中の売場から出火/出火の連絡はなかった/客は悲鳴をあげてエレベーターに殺到/無傷で助かった人もいた/利用されなかった階段/悪質な経営者

2 ビル街に残る将門の記憶
大蔵省の首塚事件/祟り神としての将門/日比谷は入江だった/将門の霊よ このとおり謝る/大手町官庁街の火災事件/守り神としての将門/将門塚と伊達騒動の悲劇

3 鉄道に踏みにじられた地霊
骨ケ原での腑分け/小塚原とはどんな所だったのか/吉田松陰の処刑/大老を暗殺した水戸浪士はどうなったか/刑場を分断した鉄道線路/160人が死亡した三河島事故/第一の事故/第二の事故/第三の事故/三河島事故の原因/失われた天守閣

4 台地にひそむ地霊の黒い陰
淀川大洪水で河内平野は海に/河内湾から河内湖へ/淀川の歴史は堤防の歴史/
人柱の運命を分けたのは何か/人柱伝説は地霊からのメッセージ/八十島は国生みのモデル/八十島祭は国土安泰の祭り/生後九カ月で即位/幼帝の時代/石山本願寺に始まる大坂城の歴史/石山合戦/豊臣政権の崩壊は地霊の怒りから/大坂城築城から始まった秀吉の異常な行動/豊臣家の最後/栄光の聖母マリア

5 震災で浮かび上がった地霊
母への最後の手紙/新婚の妻へ/幼い子供へ/幼い妹への手紙/特攻とは何だったのか/特攻は作戦の外道/福島第一原発の敷地は特攻隊の基地であった/高台を二五メートルも削った原発の敷地/予測されていた津波の高さ/無視された警告/四つの調査委員会/福島第一原発が犯した二重の誤り/女川原発が津波から守られたのは何故か/大津波を予言していた末の松山/津波は神社と旧街道の前で止まった

6 地霊の声は防災の原点
沖の百万坪/地名には地霊が隠れている/失われた地名/呪われた暗渠/地霊のカテゴリー/ゲニウス・ロキ/地霊とは土地の記憶であり歴史である/地震圧殺は重大な結果をまねく/地霊の光と影/地鎮祭は地霊の祀り/災害の歴史は地霊圧殺の
主な参考文献

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