書評紹介

再発見/ル・コルビュジエの絵画と建築

林 美佐著



日本経済新聞 2000年6月4日(日)紙面より

短評
 東京・上野の国立西洋美術館の設計者として知られるスイス生まれの建築家、ル・コルビュジエは、絵画の分野でも、余技の域を 超える数多くの作品を残している。本書は彼の絵画作品に目を向け、建築との関係を探りながら、作家の表現の本質に迫っていく。
 建築に関しては合理的精神を強調する近代人であったコルビュジエだが、彼の絵画には詩的、神秘的な要素も強く、彼の精神の内面 のバランスを保つ役割を担っていたのではと著者は説明する。マッチョな自己像の演出、女性への無理解など、意外な人物像も浮き彫 りにしている。(彰国社・2,500円)



東京新聞 2000年4月27日(木)朝刊紙面より

今週の本棚
偉大な建築家
 少し近づけば、陰気で偉そうで嫌み。さらに近づいてみると、繊細で自信なげで生真面目。そんな素顔の上に「ル・コルビュジエ」 という攻撃的な面をかぶって英雄のふりをしている人間シャルル・エドゥアール・ジャンヌレ。機能主義モダニスト、20世紀を 代表する建築家として知られるコルビュジエが描き続けた絵画に光を当て、その表現の変遷、色、モチーフのなかに建築作品との 深いつながり、素顔を読み取る。コルビュジエ関連の展覧会の企画実施に携わってきた著者ならではの1冊。
(彰国社・2,500円)


日刊建設工業新聞 2000年5月22日(月)紙面より

新刊紹介
 20世紀を代表する近代建築の巨匠、ル・コルビュジエは、建築以外にも多くの分野で作品を残した。「自分の建築は絵画という運河 を通ってきたものだ」と本人が語るように、彼の建築は絵画なしには成立しえなかったものであり、同時に、絵画は彼の精神的な発露 として内面のバランスを保つ機能を果たしたようだ。
 大成建設の常設ギャラリー「ギャルリー・タイセイ」は、日本ではあまり紹介されなかったコルビュジエの絵画にスポットをあて、 数多くのコレクションを展示・公開する機会を設けてきた。本書は、新しい切り口でコルビュジエ作品のいろいろな見方を提示してき た展覧会の開催に当たり、著者が小冊子に発表してきたテキストをまとめたもの。絵画と建築との関係から、ル・コルビュジエの理解 より深めることができる。
林 美佐 著
(彰国社 2500円+税)

TOPに戻る