書評紹介
日本のモダニズム建築 17作家の作品が描く多様な展開
日刊建設工業新聞 2005年6月17日号より
これが日本の近代建築です
書籍と4枚組DVDセットに
日本のモダニズム建築は,いつから始まって,その本質は何か。諸説はあるが,およそのところでは異論はない。では,どんな建築家が担ったのか。
建築に限らないが,いまの若者たちに歴史離れが加速していて,コルビュジエやこの前亡くなった丹下健三氏の名前すら知らないという。建築史研究者にならなくて,建築家になるためにも歴史を学ぶのは不可欠だが,その歴史に興味がない,知らないというのは,なんとも恐ろしいことである。
いまや大学で教えている教師が,そうした歴史離れのなかで建築を学んできたのだから,事態は深刻で,どこかで建築の歴史を学ばなくてはならない。
そうしたなかで出版されたのが,『日本のモダニズム建築』である。登場するのはフランク・ロイド・ライトやアントニン・レーモンド,ル・コルビュジエといった外国の建築家や,堀口捨己,村野藤吾,丹下健三など17人の建築家である。この人選にも異論があろうが,これに,先に展覧会が行われた「DOCOMOMO100選展」での建築家を重ね合わせると,それがおよその「日本のモダニズム建築」を担った建築家だといっていいだろう。
今回の出版は,歴史離れや活字離れの若者向けのために,映像化された4枚組のDVD(全6時間)がセットになっている。つまり書籍編(約580ページ)と映像編である。それはこの出版企画が,テレビ番組制作会社「テレコムスタッフ」の映像番組からのものだからである。しかし書籍編にはテレビ放映時より作品数が増えているから,ここでも動画と静画を合わせ見ると,より内容が深まる。
さらに日本のモダニズムを概観してもらうために,鈴木博之,藤森照信,藤岡洋保の3建築史研究者が鼎談を行っているし,17人の建築家の代表的文章も再録されている。価格は少し高いが,映像世代の若者にも,これらの建築を実感せずに教えている教師にも教材として役立つだろう。
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『日本のモダニズム建築』は彰国社。価格17万8500円(税込み),8月末まで特価16万円。