彰国社

検索

建築生産のオープンシステム【電子書籍版】

内田 祥哉 著

A5・360頁

定価5,280円(本体4,800円+税)

ISBN:978-4-395-00076-0

2020年02月

本書は、1977年に刊行された内田祥哉著「建築生産のオープンシステム」の待望の電子化である。建築生産におけるオープンシステムを、部品、システム、構造、規格、モデュールなど多様な視点から論じている。建築生産のオープンシステムを大系的にみる視点からも貴重な文献である。

[目次]
1 序章・オープンシステムとは
オープン化の夢/クローズド部品、クローズドシステム/システムとは/「一式」/オープンシステムのイメージ

2 オープンシステムの発生と現状
住宅部品の現状/民間企画のオープン部品/既製サッシュ―オープン部品の王者/個別設計から生まれたオープン部品/公共住宅標準設計から生まれたKJ部品/量産公営住宅というシステムズビルディングの誕生/不燃組立住宅(LGSによるプレファブ住宅)/クラスプ(CLASP)/SCSD・SEF/開発改善意欲が積極的になった量産公営システム/品質向上のブレーキとなったKJ流し/設備ユニット実用化の口火とオープン化への壁/設備ユニット、オープン化の試作/BL部品の誕生/内装システムの開発/RIEF・GSK/KEP/SPHとNPS・躯体システム/SAR/その他(GOD,BPS,NEBSなど)/日本における在来構法の中のサブシステム(建具職と経師職など)/在来構法は以心伝心システム

3 クローズドシステムとオープンシステム
既製品はオープン部品、純正部品はクローズド部品/既製品が得か、特注部品が得か/販売面での得失/大型のクローズドシステムはオープン部品を駆逐する/製品はクローズド、生産組織はオープン/クローズドシステムの中のオープン化/スポンサー付きとスポンサーなし/将来の目標はオープン化か、クローズドか/現場労務を吸収して来たオープン部品と材工比一定の仮説

4 サブシステムの構造と問題点
形としてまとまっていること/パネル化かユニット化か/BEパネルか、1/2BEパネルか/ユニオンのある所にユニット化が育つ/仕事としてまとまっていること/配管工事の問題点/設備ユニットは器具か/形の切れ目が仕事の切れ目/責任の所在について/契約が一本でまとまること/部位別工事別積算/省力化を反映しない在来積算方式/工事管理の合理化を反映しない在来積算方式/設計から生産までを一貫で/企業の販売意欲が潜在していること/コストダウン浸透に時間のかかる建設業界/母体となる需要があること/需要をまとめる手段/オープン化の母体としての我が国の在来システム

5 多様化・互換性・画一化
ライフサイクルによる互換性/目的変更や気分転換のための互換性/多様な建物に共通に使える互換性/模様替え(flexibility in time)のための互換性/計画の自由度をます互換性(flexibility in planning)/多様な部品が多様な建物に使える互換性/互換性と規格/互換性のメリット/多様化のための細分化/細分化による画一化/画一化を避けるにはバイパス部品が有効

6 接合の仕事
「取付け」という仕事の独立/設備ユニットの据付け工事/接続工事はあとでくる職種の仕事/接続を完了できる職種が最後にくる職種/仕事の手順は仕事の切れ目をきめる/幅木工事と回り縁工事/在来木造建築の回り縁と幅木/硬い部材は先に、軟らかい部品はあとで/強い部品と弱い部品

7 接合の形
接合の形を決定すべき所/床版と骨組のコーデネーション/ウォールユニット仕上区分/キュービクルユニットの寸法押え/キュービクルユニットの外面仕上/窓枠と額縁は壁の一部/窓枠と額縁はサッシュの一部/額縁の見付けと見込み/管の継手は「切り放し」に「フレキシブル」

8 部品配置のための寸法押え
呼び寸法、製作寸法、実体寸法、製作誤差、位置の誤差、基準面、基準線/領域を定める基準線と位置のみを定める基準線/「入れ子」のためには面押え/「間仕切割り」には心押え/心押えか面押えか/シングルグリッドと面押えの共存/高さ方向の寸法押え/法則はあるが結論はない、結論はないが定石はある

9 モデュラーコーディネーションのための数列とその発展
モデュラーコーディネーションで何ができるか、何ができると期待されているか/優先サイズは既製品の寸法/昔からあった数列(優先サイズを作る道具)/近代的数列・ルナール/モデュロールからフィボナチへ/一九五〇年前後の数列と優先サイズの提案/モデュール数値の密度特性表(池田邦彦)/丸い数(清水達夫)/Dφ集合の発送と計算尺/モデュラー数票のメカニズム/モデュラーコンピューター(樋田)とそれによる各種提案の比較/日本建築学会の基準→JIS

10 数値の選び方
整数倍の選び方/フィボナチの選び方/ルナール/割込みと合成/数値の関連づけについての実例/ある数を中心にしたモデュール数表の作り方/特定の数を含んだモデュール数表の作り方

11 建築のモデュール
ベーシックモデュール/プランニングモデュール/普及についての問題点/長さと数値について/建築モデュールのまとめ

12 発注方式と生産組織
発注方式の思潮/型式(かたしき)発注/性能発注/代案発注/需要を約束した時の発注方式/分離発注への期待と問題点/すでに分離発注されている工事/建設業者と部品メーカーとの力関係/設計者、建設会社、工事管理者、サブシステムの役割/発注、生産、施工手順の概要/一括発注、一式請負型/下請指定、一式請負型/分離発注、並行分離工事型/分離発注、時差分離工事型

13 システムの評価と選択
システムの良し悪し/可否のある性能と優劣のある性能/三段階法/評価の数値化と重みの算出の実例/総合評価から算出された重みの分析例と利用例/性能/価格は常識的指標ではない/左上優先の選択方法/性能固定と価格固定

14 サブシステム開発の手順とアセスメント
可能性の検討と成立の条件/条件等の仮定/試作等による検討と評価/価格仮定の手がかり/性能仮定の手がかり/境界条件決定の手法―ルールを作るルールの例/接点にはバイパスを用意せよ―ブロック構成の自由/形をきめるな―造形の自由/材質を決めるな―材料選択の自由/技術を指定するな―プロセスの選択自由/試作参加の自由/消費者への効果伝達のルート開け

15 終章・トータルシステムへのアプローチ

  • 新刊やイベントのお知らせ、現在編集中の企画、最新情報などをお届けしています。