LEDの出現、昼光を含めたシミュレーション技術の進化等により、いま光環境制御の技術の進歩はめざましい。従来とは異なるデザインの考え方や手法が生まれてきており、本書では、そのトップランナーたちのプロジェクトをもとに、光・色にどのような価値を与え、トレードオフとなる事柄をどう解き実現したのかを、検討プロセスまで含めて紹介する。　

［目次］
第1部　テーマでとく　光のデザイン手法
Theme 1 眺望・採光・グレア制御のカタチ
　CASE 1 伝統技能に学ぶ採光と視線制御　SAKURA GALLERY　山櫻東京支店
　CASE 2 眺望とグレア制御を両立する帆　ペプチドリーム本社・研究所
　CASE 3 窓がつくる居心地のよい空間　大林組技術研究所 テクノステーション
　CASE 4 配光可変照明を取り入れたアニメ制作専用施設　東映アニメーション　大泉スタジオ
　CASE 5 水盤がもたらす揺らぐ光の地下空間　東京大学　総合図書館別館

Theme 2 健康をつくる光
　CASE 1 光を使い分け睡眠の質を高め、リラックスできる環境づくり　あけぼの病院
　CASE 2 光の量を抑えた癒やしの療養空間　柏たなか病院
　CASE 3 自らの五感の力を引き出す空間　神戸アイセンター・ビジョンパーク
　CASE 4 照明のパーソナル化による多床室の快適性向上　順天堂医院B 棟
　CASE 5 自然光あふれるスポーツ施設　津市産業・スポーツセンター　サオリーナ・メインアリーナ

Theme 3 演出効果を高める色・光
　CASE 1 絵画に降り注ぐ光だけが存在する空間　ホキ美術館
　CASE 2 光で生物の生息環境を忠実に表現したミュージアム　NIFREL（ニフレル）
　CASE 3 自然光でやわらかく包まれた祭壇　ペトロの家（小聖堂）
　CASE 4 光の連続性で導く海の世界　上越市立水族博物館　うみがたり

第2部　光をコントロールする技術
1章 光色と演色性
　1.1 光そのものの色「光色」
　1.2 演色
　1.3 演色性を高めた照明光の事例
　COLUMN 01-01｜カラーガラスによるスケルトン空間の分節
　COLUMN 01-02｜有機EL照明の特徴を活かすメーキャップ用照明

2章 視認性
　2.1 視認性とは
　2.2 視力と見えやすさ
　2.3 文章の読みやすさ・視認性の評価指標
　2.4 明るさ変化と視認性
　2.5 個人の視覚特性と視認性
　COLUMN 02-01｜文字をくっきり見せる照明
　COLUMN 02-02｜薄明視で明るく見える照明

3章 眺望性・開放感
　3.1 本章について
　3.2 窓の価値が揺らいでいる
　3.3 窓がもたらす「快適性」とは
　3.4 窓がもたらす影響の選択性向上の歴史
　3.5 ガラスの進化
　3.6 光の変動を取り込む
　3.7 窓を通じて外に向かうもの
　3.8 自由になった窓
　3.9 やはりそれでもリアルな窓は必要
　3.10 窓の決定に影響を与える指標
　3.11 目的別窓のすすめ
　COLUMN 03-01｜透光・不透視の視線制御
　COLUMN 03-02｜窓を利用したメディアファサード
　COLUMN 03-03｜光環境と意匠性をもつ3 次元曲面ファサード
　COLUMN 03-04｜水流を利用した環境装置　ウォータールーバー
　COLUMN 03-05｜空間演出システム「天窓照明」

4章 グレアの制御
　4.1 グレアとは？
　4.2 グレア感の予測
　4.3 人工照明のグレア指標
　4.4 昼光照明のグレア指標
　4.5 グレア評価
　4.6 実空間での人工照明のグレア制御
　4.7 実空間での昼光グレア抑制
　COLUMN 04-01｜昼光の変動を活かした採光装置
　COLUMN 04-02｜グレア制御と採光を両立するブラインド型装備

5章 空間の雰囲気
　5.1 空間の明るさ ≠ 照度
　5.2 空間の明るさ ≒ 輝度
　5.3 特定面の照度から複数面の輝度設計へ
　5.4 タスク・アンビエント照明の考え方
　5.5 昼光を含む空間の明るさコントロール
　5.6 空間の明るさに影響する要因
　5.7 光の質感をコントロールする
　COLUMN 05-01｜カラーガラスの進化
　COLUMN 05-02｜吊下げ式上下配光による全般照明
　COLUMN 05-03｜目の順応状態を考慮した照明制御

6章 光と健康
　6.1 紫外放射と上手につきあう
　6.2 夜間の光曝露による健康リスクを軽減するには？
　6.3 日中の積極的な光の活用によるよい生理的効果
　6.4 夜の光と生態系（ヒト以外への光の影響）
　COLUMN 06-01｜昼光の変動を活かした採光装置
　COLUMN 06-02｜高齢者福祉施設向け「リズムサポート照明システム」