
新装版
谷間の花が見えなかった時
近代建築史の断絶を埋める松本與作の証言
伊藤ていじ 著
B6・348頁
定価2,750円(本体2,500円+税)
ISBN:978-4-395-02981-5
2012年05月
松本與作は築地の工手学校を卒業し、辰野金吾設計の中央停車場(現在の東京駅舎)などにかかわっている。建築界の超エリート・辰野金吾に師事し、日本の近代建築の誕生に立ち会った松本與作の証言をもとに、近代建築を牽引した辰野金吾とその時代に新しい光をあてた近代建築史のノンフィクション。今回、新装版として出版。
[目次]
まえがき
五月二十五日/失われたドーム/生き証人として
その生い立ち
上京のぼんちゃん/造家から建築への頃/どんなもんじゃ/木子家に寄宿/輸入工学の補完/進学のすすめ/築地の工手学校へ/中堅工手の役割
中央停車場時代
辰野金吾との出会い/日吉町の事務所/八重洲の事務所/停車場建設計画/掃きだめの役/エレファントと薄美濃/コンクリートは不安/手さぐりの構造設計/大林芳五郎上京/絵草紙か現寸図か/停車場の完成
第一相互館時代
用のある男/日本一の建築家/高さは企業のシンボル/中堅工手の役割/現場監理主任へ/八阪丸撃沈さる/非情の立ちまわり/請負業の論理/ほうろく煉瓦/信頼なければ/直営工事に変更/社長が社長を/栄光の解体式
辰野金吾の置土産
嫁取りの話/京都で見合い/「朝」と「萌黄」/明治の巨星墜つ/自動車で新婚旅行/船長なき船から/春洋丸出航/シカゴでの発見/ヨーロッパ周遊/ウィーンの森/関東大震災発生/第一相互館の復興/様式の集大成
第一生命館時代
有楽町一丁目九番/矢野恒太のメモ/立面のみのコンペ/松本案の立面/淀橋の常円寺へ/波辺仁の参加/建設部の組織化/木田保造の登場/深礎工法の採用/潜函工法の決意/地下は四階に/馬鹿な計画を/実費精算式の施工/耐爆・耐弾構造を/工事の進捗/終身の顧問技師
あとがき
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