
漱石まちをゆく
建築家になろうとした作家
若山 滋 著
B6・242頁
定価1,980円(本体1,800円+税)
ISBN:4-395-00686-8
2002年09月
漱石は学生時代、建築家になろうとした。そしてその作品に登場する都市と建築の描写は、多様で、詳細で、また重要な「意味」をになっている。それは現代に生きるわれわれの心象風景の原型であり、われわれは彼を歩かせることによって、「西洋」という力に直面した明治人の心と、「近代」への道を歩んできた日本人の心を知ることができる。漱石とともに歩いてみよう。それはわれわれ自身の心を知ることだ。
[目次]
まえがき 漱石とともに歩く
序章
南画的世界と洋風建築/建築家としての漱石
1 閉ざされた舞台 場の三部作
猫が観る家 『吾輩は猫である』/明治日本の縮図 『坊っちゃん』/薄墨の画中へ 『草枕』
2 漂泊の住まい
捨て子同然/血気さかん/洋風建築との出会い
3 ヒロインと建築様式 東京の四部作(前)
バロック建築の崩壊 『虞美人草』 /ゴシック建築の消失 『三四郎』
4 草を枕に
陶淵明と「守拙」/妻の身投げ/霧と煙のロンドン
5 市中に隠れる 東京の四部作(後)
アール・ヌーヴォーの香り 『それから』/崖下の寂寛 『門』
6 開かれた視野
クレイグとモリス/猫きたる・作家の誕生/山房と呼ばれた家
7 漂う心 海の三部作
懐疑の海 『彼岸過迄』/不安の宿 『行人』/モダンなる静寂 『こころ』
8 文学と建築の出会うところ
西洋と東洋の構図/近代の不安へ/文化の織物
あとがき 一期一会の恩師
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