スウェーデン 「住み続ける」社会のデザイン
水村容子 著
四六・262頁
定価2,530円(本体2,300円+税)
ISBN:978-4-395-32004-2
2014年01月
「住み続ける」ための社会制度・住宅・コミュニティづくりで様々な努力・試みを重ねてきた福祉国家スウェーデン。軌道修正しながら、なおも新しい社会をつくり続ける姿に、少子高齢化や経済格差で居住困難が生じている日本社会に生きる私たちが学べること、社会を変えるためにできることは何かを考える。
[目次]
はじめに
第1章 スウェーデンの住宅政策
1.住宅政策の歴史
(1)1930年代 住宅政策の萌芽期/(2)1945年~1965年 住宅建設の黄金期/(3)1965年~1974年 ミリオンプログラムの時代/(4)1975年~1990年 住宅地改良計画の時代/(5)1990年以降 政策の方針転換の時代
2.現在の住宅政策
(1)1980年代までの住宅政策の概況/(2)1990年代以降の政策転換の動向
3.「住み続ける」ための社会制度
(1)ノーマライゼーション理念に基づく福祉制度/(2)自宅に「住み続ける」ための制度
第2章 スウェーデンの住宅・コミュニティ事情
1.高齢者の住まい
(1)サービスハウスの登場/(2)特別住宅の拡充とエーデル改革/(3)安心住宅の意義/(4)ストックホルム市の高齢者住宅事情
2.障害や難病のある人の住まい
(1)建築関連法規におけるアクセスビリティの義務化/(2)サリドマイド胎芽病による上肢障害のある人々の住環境/(3)関節リウマチの人々の住環境
3.コレクティヴハウジングという共生型住まい
(1)第1回国際コラボラティヴハウジング会議/(2)コレクティヴハウジング発祥の歴史/(3)スウェーデンのコレクティヴハウス
4.セーフ・コミュニティというまちづくり
(1)セーフ・コミュニティとは/(2)スウェーデンにおけるSC活動の発祥と展開/(3)ナッカ市の取り組み(高齢者の安全)
5.最期まで自宅に「住み続ける」ための仕組み
(1)緩和ケアとは/(2)エルシュタ病院の試み/(3)終末期を維持する住環境整備
第3章 スウェーデンの住宅政策の転換に伴う住宅地格差の現状
1.ストックホルムにおける住宅地格差の問題
(1)格差の原因と現状/(2)格差の影響/(3)格差を越える試み
2.「住み続ける」社会をデザインするために 研究者へのインタビュー
利潤追求よりも、誰もが幸せになる住宅政策の転換が国を変える
— 住宅政策の転換と「住宅地格差」の現状( ディック・ウルバン・ヴェストブロ)
人々の生活に着目し、希望を持たせる社会を実現させることが大切
— 物理的環境改善から個人生活の改善へ向けた改良事業へ( ヨーラン・カーシュ)
福祉国家としてなすべきことは雇用対策から
— 住宅政策と福祉政策の連携の現状( インゲ・ブリット・ベグナー)
時代の流れを見極め、中心市街地に賃貸住宅を
— 住宅地格差の出現とスウェーデンモデルの終焉( エリザベス・リリィエ)
第4章 「住み続ける」社会を考える 日本とスウェーデンの比較
1.住宅政策の歴史的変遷を比較して
(1)戦後の政策の変遷から/(2)住宅供給事情・居住階層の相違から/(3)「住宅ストックの質」を保つための方策
2.「住み続ける」ための住まいを考える
(1)良質な住宅ストックが形成されること/(2)必要が生じた時に住環境整備がスムーズに行えること/(3)経済的に困窮した時でも居住継続が実現できること
3.「住み続ける」ためのコミュニティを考える
集合住宅を通じてのコミュニティ形成
4.「住み続ける」ためのライフスタイルを提案する
(1)ワークバランスを再考する/(2)子どもを大切にする/(3)住宅への愛着と執着
5.「住み続ける」ために目指すべき方向
日本語/スウェーデン語の読み方、意味
おわりに
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