
中国的建築処世術
東福大輔+市川紘司 編著
四六・224頁
定価2,200円(本体2,000円+税)
ISBN:978-4-395-32008-0
2014年03月
中国の建築は現在、具体的にどのような状況にあり、どのような制度のもとで動いているのか。本書は、中国と日本を行き来しながら活動する著者らが、中国で生活するうえで生じる問題から、中国建築を取り巻く法制度や慣習、さらには中国建築特有の概念まで、中国で建築をつくるうえで知っておきたいトピックを事例をまじえながら解説する。
[目次]
第一章 中国建築を動かすプレイヤーたち
1 中国の建築はすべて政治的な駆け引きから生まれる
2 国内外のディベロッパーが交じり合う開発業界
3 中国のディベロッパーはワンマン経営である
4 土地の使用権が払い下げられることで開発は始まる
5 「メンツ ・ プロジェクト」とは何か?
6 外国人設計者の大事なパートナー「設計院」とは何か?
7 建築師とはどんな職業か?
8 中国のアトリエ建築家は「本土化」する
9 施工業は国内企業がシェアの大半を占める
10 建材の決定はカタログで済ませず、実物を見に市場へ!
11 出稼ぎ労働者たちが建設現場を動かす
第二章 中国建築が生まれるプロセス
12 中国建築設計の3つのフェーズ
13 方案設計〉「面食い」な建築が生まれる理由
14 建築パースとは「図面」である
15 分離する外装と内装をいかに接続するか
16 初歩設計〉「普通」ではないプロジェクトのためのフェーズ
17 中国人は照明が好き
18 施工図設計〉ここで描かれた図面がそのまま建ち上がる
19 均質的な都市風景を生む「標準設計」図書とは何か?
20 不測の事態に振り回されながらいかに現場を監理するか
第三章 中国式ビルディングタイプ考:インテリアから都市計画まで
21 インテリアレイプ!? 建築の全体性を放棄せよ
22 塔楼と板楼〉「一般解」化する集合住宅
23 小区〉閉鎖志向の建築と都市
24 超豪邸〉戸建住宅をつくる数少ないチャンス
25 大学城〉都市としてのキャンパス
26 店中店〉中国におけるワン・ストップ・ショップの難しさ
27 不自由な文化施設〉政治家の手柄?宅地開発のオマケ?
28 重視される都市計画〉ゾーニングと分散配置
29 都市のなかの農村〉非合法建築が集まるスラム
30 ぜいたく三昧の政府庁舎〉汚職の温床として建設禁止ヘ
31 保存と開発〉テーマパーク化する歴史的空間
32 人防〉非常事態にそなえた地下空間
第四章 日本人が気をつけるべき中国建築事情
33 中国人クライアントが日本の設計者に期待することとは?
34 設計料とキックバック〉お金の話は中国人パートナーに解決してもらおう
35 反日感情の高まりは設計活動に影響するのか?
36 「小気」と「設計不足」〉日本人設計者を悩ませる2大問題
37 風水と付き合う〉自然と人間の調和を重んじる「天人合一」思想
38 多様なる「中国的なもの」〉広大な国土を反映
39 活況を呈する中国建築メディア
40 つねに変化しつづける「中国事情」〉2010年代の政府とディベロッパー
Column
スター建築家を招集せよ!まとめて消費される建築家たちのアイデア
「山塞建築」とは何か?中国のコピー文化と建築デザイン
Interview
中国のボトムアップの強靭さ。その近未来のために 山代悟
中国のショッピング、クリエイティビティに応える 万谷健志
アンケート
中国で活動する若手建築関係者に聞くリアルな中国事情
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