
都市をつくりかえるしくみ
専門性をつなぐ参画のしくみ研究会 編著
B5・264頁
定価3,300円(本体3,000円+税)
ISBN:978-4-395-32081-3
2016年12月
都市や地域の問題解決には、現状を抽象化する力、他者と共有できる力、検証する力が求められる。本書は、都市問題に取り組む際、システムズ思考をとることを提案。経済理論・システム工学など多様な背景を持つ執筆陣が、都市問題解決へのアプローチを示す。
[目次]
第1章 都市をつくりかえる
1 都市(まち)とは
1.1 都市とは
1.2 まちとは
2 これまでの都市がどのようにつくられてきたか
2.1 都市にかかわる仕事の広がり
2.2 都市にかかわる仕事の内容
1.都市計画コンサルタント 2.商業コンサルタント 3.環境コンサルタント 4.造園設計・ランドスケープデザイン事務所 5.建築設計事務所 6.構造設計事務所 7.設備設計事務所 8.総合建設業 9.専門工事業 10.建築工務店 11.建築専門業者 12.内装・ID・工芸 13.エネルギー関連業 14.プラントエンジニアリング業 15. 廃棄物管理関連業 16.ICT 関連業 17.不動産業・デベロッパー 18.ファシリティマネジメント 19.ハウスメーカー 20.建材メーカー 21.オフィス機器メーカー 22.照明メーカー・照明デザイン事務所 23.建設・環境関連ジャーナル 24.公団(独立行政法人)・公社・関連民間会社 25.鉄道・高速道路会社 26.行政機関 27.NPO 法人 28.大学・研究機関
2.3 社会・技術基盤の変化
1. 社会の成熟化と求められる問題の変化 2. 情報化社会による可能性の拡大
2.4 タコツボ的な専門性からシステム的な総合性へ―求められる能力の変化
3 都市を考えるためのプラットフォームの構築
3.1 社会モデルの構築
1.「シムシティ」と背後にあるモデル 2.さまざまなタイプのモデル 3.モデルはどう使うのか 4.モデルを用いる時の注意点とモデルの限界
3.2 問題解決型システムズアプローチ
1. 都市はシステム・オブ・システムズ 2. 技術システムの進化と適応 3. 共通言語としてのシステム思考 4. 創造的な解決策を導出するためのシステムズアプローチ
Column 感動を引き起こすアイデアを創出するためのシステムズアプローチ
第2章 都市の課題の捉え方
1 人口減少・少子高齢化
1.1 人口の推移と将来予測
1.日本の人口推移と現在の立ち位置 2. 世界的な人口推移と問題 3. 人口の減少 4. 年齢別人口構成の変化 5. 若者人口減少と高齢化の速度 6. 地方と大都市による人口変化の違い
1.2 人口減少の問題
1. 人口減少の要因 2. 少子化の背景 3. 人口減少が及ぼす問題
1.3 高齢化社会の課題
1. 高齢者の増加にともなう社会システムの対応 2. 高齢者世帯や高齢者独居の増加
1.4 縮小都市においてまちづくりをどう考えるか
1. 働く場の充実 2. 地域の資源や特性を生かした魅力づくりとシビックプライド 3. 空き家対策と活用 4. 新時代コミュニティの強化 5. 都市インフラの更新と縮小、再活用 6. 縮小都市の問題解決のためのシステムズアプローチ
Column 高齢化社会を先んずる団地─上尾市・原市団地を例として
2 自動車社会の進展とまちなかの空洞化
2.1 大都市部における人口集中と郊外化の進展
1. 経済の高度成長期における都市の膨張・拡大 2. 市街地の適切な誘導のための新都市計画法制定 3. 郊外住宅地の人口高齢化・空き家の増加
2.2 地方のまちの中心市街空洞化現象
1.まちのにぎわいの消失 2.自動車社会の進展と人口の郊外移動
2.3 自治体財政とインフラ(社会資本)の維持
1. 交通インフラ── 公共交通の消滅 2. 供給処理施設の老朽化問題・更新限界 3. 災害リスクと郊外開発 4. 都市内の“限界集落化”問題
2.4 新しい時代の環境都市への模索
3 自然災害・都市災害
3.1 災害を知る
1. 災害の危険性を明示する 2. 複合的な事象を捉える 3. 災害を可視化(見える化)する 4. 都市特有の事象を考慮する
3.2 災害に備える
1. 防災・減災・適応 2. 災害対策のさまざまな視点
Column 復興イメトレ─「復興」に備える手法
3.3 レジリエンスを高める
1. 生き生きとした地域を育む 2. 多様性を生み、持続させる
4 都市の環境と物質・エネルギー系の課題
4.1 都市と環境とのかかわり
1.システムとしての環境 2. 物質・エネルギー系の基本法則 3. 都市における物質・エネルギー系を支える基盤 4. 環境問題の発生機構と資源問題 5. 世界共通の理念としての持続可能な発展概念
4.2 都市における環境問題
1. 都市の水環境:水循環系の改変と水質汚濁 2. 都市における物質代謝と廃棄物処理 3. 都市の大気環境 4. 都市におけるエネルギー消費とCO2排出 5. 都市気候:ヒートアイランド現象 6. 都市環境問題の特徴
4.3 都市環境問題への対策アプローチの視点と手法
1. 対策検討の視点 2. 対策検討のための手法
Column 水素社会
第3章 関連づけて解いていく
1 多彩なモデルで関連を探る
1.1 建築タイプについて―「(ヒト⇔モノ+情報)/環境」のシェルター
1. 都市という森、建築という樹木 2.Civil ArchitectureとBuilding Type 3.20世紀の白紙還元(タブラ・ラサ) 4. 情報化社会の都市と建築 5. 環境・情報・建築
1.2 インフラとしてのソフトコンピューティング
1. 情報検索のための支援インフラ 2. 与件を分析・定義するための支援インフラ 3. 計画を検証・評価するための支援インフラ
1.3 人・建築・まち・環境をつなぐモデル化─価値を創発するデジタルデザイン BIM・CIM
1.自然・社会と一体となった設計(デザイン)とは 2. 人と環境 3.BIM・CIMによる統合的建設手法 4.BIMによる気づきと発見 5.デジタルデザインの可能性
Column BIM /システム思考で実践したチームデザイン
1.4 自然の力を生かした都市づくり─サステイナブル社会に向けた環境基盤の整備
1. 都市インフラとしての水辺・緑地・「風の道」 2. 都市の二つの温暖化──ヒートアイランド現象と地球温暖化 3.ヒートアイランド現象の原因・影響・対策 4. 都市の「風の道」 5. 都市の環境気候図 6. 熱環境に配慮したこれからの都市づくりに向けて 7. 都市環境のレジリエンス── 持続可能性の新しい視点
Column 1. 屋外における都市気候観測
Column 2.「厳しい環境変化を乗り越える力」としてのレジリエンス
2 参画のための工学
2.1 都市(まち)づかいのモデル化─市民参加と都市環境デザイン 時間軸を取り込む
1.「まちづくり」から「まちづかい」の時代へ 2.わが国の公共空間活用への模索 3.身近な事例の市民の居場所づくり/にぎわいづくりの試行
Column 1.ニューヨークのPPSとブライアント・パークの再生
Column 2. 歩行者空間先進都市・コペンハーゲンのストロイエとニューハウン
Column 3.ブロードウェイの歩行者天国実験から市内の街路改造へ
Column 4.ユトレヒトのアウデグラフト
Column 5. 京都鴨川納涼川床(かわゆか)
2.2 地域の住環境問題を住民との協働で解決する技術
1. 住環境の目標 2. 住民との協働による住環境問題解決の方法 3. 住民の活動に科学的視点を持ち込む
2.3 ボトムアップの支援技術―環境教育・ESDによる人材育成
1.日本の農山村の現状と課題 2. 課題解決のモデル─環境教育・ESDの導入 3.ESD導入モデルの検証─岡山県矢掛高校の事例 4.ESD導入モデルの発展形─矢掛町「YKG60」による小・中・高連携
Column ESDとは
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