アジアン・リゾートホテルを展開するアマングループがホテル建築の原型としたことで知られるスリランカの建築家、ジェフリー・バワ。その商業的な影響ではなく、建築家としてバワを位置づけた日本語テキストによる初めての評論・作品集。スリランカの混成文化を現代建築に翻案した天性の建築家・バワとその作品のほぼ全容を紹介する。内戦のため渡航が制限されていた時代からスリランカに通いつめた著者とバワ財団の信頼関係により、財団所有の貴重な図面も併載している。また、初期にバワと設計パートナーを組んでいたウルリック・プレスナー、バワ事務所のスタッフだったイシメス・ラヒーンへのインタビューも収録。巻末にはバワ年表、作品案内地図を掲載。

［目次］
1章　スリランカと建築家ジェフリー・バワ
01.スリランカの風土
02.スリランカの歴史と建築
03.バワはどのようにしてバワになったか

エッセイ 1　ウルリックへのインタビュー

2章　バワ建築を理解するための10の視点
01.スリランカ的なるもの
02.アニミズム
03.バワの建築思想
04.場の解読
05.シンハラ建築とモダニズム建築の接点
06.隠れた秩序
07.形のない形
08.境界の喪失
09.建築語法
10.美の源泉

エッセイ 2　イスメスとの出会い

3章　吹きわたる風　バワ作品25題
01　光のラビリンス　No.11
02　南スリランカの散居　ドクター・シルバ邸
03　軽やかなスクリーン　ビショップズ・カレッジ
04　市中の山居　イナ邸
05　沈黙なる饒舌　チャペル・フォー・グッドシェファード・コンベント
06　愛され続けるバワデザイン　ギャラリー・カフェ
07　巨岩の原始小屋　ポロンタラワ・エステート・バンガロー
08　インド洋に君臨するランドマーク　ベントータ・ビーチ・ホテル
09　追い出されたリビング　セレンディブ・ホテル
10　石柱の木造建築　マドゥライ・クラブ
11　ハイエンド・リゾートの原形　バトゥジンバール　No.5 、No.11
12　ケララの落胤　シーマ・マラカ
13　穿たれた壁　クラブ・ヴィッラ
14　記憶の庭園　No.87
15　谷間の協奏曲　インスティチュート・フォー・インテグラル・エデュケーション
16　水へのオマージュ　トリトン・ホテル
17　国家のデザイン：シンハラ的なるもの　新国会議事堂
18　丘陵のシンフォニー　ルフヌ大学
19　インド洋に浮かぶヴィッラ・ロトンダ　コースト・ハウス
20　風景のプロセニアム　カンダラマ・ホテル
21　海辺の中庭　ライトハウス・ホテル
22　水に浮かぶ回廊　ブルーウォーター・ホテル
23　形のないカタチ　赤い崖の家
24　バワの遺言　ラスト・ハウス
25　夢想の庭園　ルヌガンガ

エッセイ 3　“4姉妹”は誰が設計したか

原図集